浄土真宗僧侶が考える「スピリチュアルや占い」に頼りすぎることのリスクと適切な距離感

この記事を書いた人
武田 正文

浄土真宗本願寺派高善寺(島根県邑南町)住職。 広島大学大学院教育学研究科心理学専攻修了後、精神科病院で心理療法士を経験し、現在は法務のかたわら学校や企業でカウンセラーとして臨床に携わっている。 心理学者としてスピリチュアリティを研究しながら、象徴的なメッセージや自己理解のツールとしての役割にも注目しています。 臨床心理士、公認心理師、広島大学客員講師、YouTube「武田正文の仏心チャンネル」、山陰中央新報「教えの庭から」連載中、中国新聞セレクト「仏教と心理学でビジネス考」連載中。

「人生を豊かに過ごしたい」「嫌なことをうまく避けたい」と考えることは実に自然なことです。そのために、占いや自己啓発、仏教、心理学など、私たちにヒントを教えてくれるものは世の中にたくさんあります。

しかし、こうしたものは魅力的であるものの、付き合い方を間違えると危険なことがあります。ここではスピリチュアルや占いとどのような距離感でいることが適切なのか、仏教的視点をご紹介します。

占い・スピリチュアル依存にご注意

自分の人生に方向性を与えてくれる占いやスピリチュアルはとても魅力的なものです。暗闇の中で迷い苦しんでいる私たちにとってそれはとても安心できる光となります。

そして、私たちは「少しの希望」を抱くことができれば考え方が前向きになり、少しだけ積極的に行動することができるようになります。この少しの変化は私たちの人生を好転させるきっかけになるでしょう。

きっかけとしての占い・スピリチュアルはとても素敵なことですが、実はこれを継続していくと依存してしまうリスクが高まります。お酒やたばこ、甘いものに依存するのは、手軽に私たちが喜びを得られて、それが継続的に与えられることからはじまります。

実は占いも手軽にアクセスできるからこそ、依存のリスクがあるのです。

 

仏教の考える占い・スピリチュアル

仏教にはたくさんの宗派があり、占い・スピリチュアルへの考え方には多少の違いはありますが、基本的には慎重な姿勢をとっています。

自灯明法灯明という言葉があり、お釈迦さまは自分の人生の灯(指針)は、自分自身にあり、そして、仏教という真理と照らして、自らが考えなさいとおっしゃっています。

このことから、自分が考えることを放棄してしまうような占い・スピリチュアルとは距離をとるべきという考え方となります。

 

占い・スピリチュアルと上手に付き合っている人たち

世間を見渡すと、経営者やアスリート、アーティストのような人たちの中に占いやスピリチュアルが好きだという方もたくさんおられます。では、彼らはどのように占いやスピリチュアルと付き合っているのでしょうか。

例えば、経営者になると大きな決断をするべき機会が多くあります。その一つ一つは¥には大きな責任があり、少しの判断ミスが大きな損失を生み出します。場合によっては、自分の将来だけではなく、従業員の未来も背負っていることもあります。

そして、大切な決断であればあるほど、AとBのどちらを選んでよいのか分からない場合があるでしょう。そんなときに、占いやスピリチュアルの考え方が最後の後押しになることがあるようです。

ここでは、自分が決断から逃げているわけではありません。AとBに絞る前に、しっかりと考えて、CとDなどの無数な選択肢を除外することはご自分で向き合っておられるはずです。

例えば、恋愛でも同じです。自分磨きをして目の前の人を大切にするということは当然行うべきことです。しかしながら、告白をするタイミングやプレゼントに何をあげるのか、どこにデートにいくかは、考え抜いても分からないときがあります。そんなときに、占いの考え方を使って背中を押してもらうというのはバランスの取れた付き合い方となります。

占いやスピリチュアルと一緒に仏教を学ぶことがおススメ

実は私自身も占いやスピリチュアルには興味があって、最近、いろいろと学んでいるところです。占い師の方やスピリチュアルのことに精通しておられる方と話せば話すほど、鋭い人間理解と世界への洞察をしておられます。

立場は違えど、真剣に世界や人間と向き合っておられることにはお互いにリスペクトするべきですし、こうした方々とお話をすると大変に勉強になります。

仏教というのは、私たちの存在を究極的な次元で考察しています。目先の悩みや問題という小さな領域ではなくて、もっと宇宙的スケールでそもそもの人間、世界の本質を見抜いています。

私たちは一つの物の見方に固執するとそれが執着になり、考えが固くなっていきます。複数の視点を持つためにも少し仏教のことを学んでみてはいかがでしょうか。

私はYouTubeもしておりますので、どうぞお参りくださいませ。

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